【丸付けという行為の本質】”学習”の超基本スキル【”勉強”のプロセス化に必須】
※本記事は主に高学年~中学生の生徒さんを想定して書いています
さて、”書く書く詐欺”状態だった丸付けについてです。
結論ファーストでいきます。
”丸付け”とは『仕分け』である。
ある程度この言葉だけで伝わるでしょうが、価値付けも含めて、この言葉を紐解いていきましょう。
”勉強”という言葉を考える
”勉強”という言葉は、私は嫌いです。
なぜなら、ひどく曖昧で、物事の本質を見誤らせる気がするからです。
一応、コトバンクで引いておきましょう。
[名](スル)
1 学問や技芸などを学ぶこと。「徹夜で勉強 する」「音楽を勉強 する」
2 物事に精を出すこと。努力すること。
3 経験を積むこと。「今度の仕事はいい勉強 になった」
4 商人が商品を値引きして安く売ること。「思い切って勉強 しておきます」
教育分野においては、基本的に1と2の意味で使われると思います。
・・・ほら、やっぱり曖昧ですよね。
要は、『学ぶ事』『努力する事』って感じでしょうか?
少し例をあげましょう。
学校のワークの問題を解く行為は、基本的には”勉強”と呼びますよね。
しかし、”勉強”という言葉は、実はひどく曖昧なものです。
『勉強で学校ワークをやる』
上記の言葉の中に、どれだけの行動が含まれているか、人により定義がマチマチなのです。そして、その定義がどうなっているかが、”勉強”により得られる経験値の差に直結します。
数学のワークで考えてみましょう。
- A君:一通り解く。
- B君:一通り解き、丸付けをして、解答を見て赤で書き込む。
- C君:丸付け後、できなかった問題の解説を読み、理解をして、解き直しを実施する。そして、解き切れることを確認する。
- D君:C君のプロセスに加え、次回にワークを進める際に、前回進めた分でチェックがついている問題に対して、再度解けるかを確認する。(×N回をプロセスに組み込む)
・・・こんなところでしょうか。(×N回のプロセスの話は、高校生向けに書いた、下記の記事をご覧ください)
kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com
kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com
「テスト週間でしょ~!!学校ワークやったの~!?」
「ちゃんと”やった”って~!!」
・・・実はこれだけ人により違いがあります。
”学習”の定義
次に、”学習”という言葉について、本記事における意味について定義します。
”学習”=”今までできなかったことが出来るようになるための行為”
一般的に”勉強”とは、インプットとアウトプット行為の総体を指す事が多いと思います。
一方で”学習”とは、主にインプット行為を指しています。
アウトプット行為では、“今までできなかったことが出来るようになる”ことは、基本ありません。
だからこそ、この“学習”=インプット行為をしっかり機能させる必要があります。
しかし、ここで誤解しないで頂きたいのですが、私は「インプット>アウトプット」と言っている訳ではないです。
当然アウトプット行為も大事です。これは、自分の“状態”をテストするめに必須行為ですから。
どちらが大事か、という話ではなく、両者は“連続した相互補完的なもの”と捉えるべきです。
つまり、“プロセス”な訳です。
アウトプット行為とインプット行為をつなぐもの
ここまでくればある程度言いたいことがお分かり頂けたかと思います。
そうですね。
アウトプット行為とインプット行為をつないで、連続体=プロセスとせしめるものが、“丸付け”なのです。
先の数学ワークの例で言えば、C君の段階から、アウトプットとインプットが連続しています。
ワークを解く(アウトプット)
↓
丸付けを行う(インプットへ繋げる)
↓
解説を読んで理解する(インプット)
↓
実際に解けるか確認する(アウトプット)
このプロセスの起点はどこか。
・・・そうです。“丸付け”なんです。
ここまでくると、きっちり“インプット”が機能します。
更に、D君の段階までくると、×N回のプロセスが組み込まれたため、人間の本質的傾向である“忘却曲線”にも対応することができます。
“丸付け=仕分け”を説明
“丸付け”という行為についてもう少し深堀しましょう。
実は“丸付け”という行為自体は、ほぼ無価値です。
個人的には“丸付け”時には、余計なことを考えず、さっさと○×を付けてしまえ!と思っています。それが効率的ですし、ここに時間をかけても何も生まれません。
ただ、この“丸付け”という行為に、生徒はかなり心理的作用を受けるようでして、ここが阻害要因となっていることも多いです。
この阻害要因については、後発の記事で書いていきたいと思います。
本題に戻ります。
(“丸付け”が大事!だけど“丸付け”自体は無価値!!なんて訳の分からんことを・・・。こいつ、アホか。)とお思いになられるかもしれません。
はい、ここで冒頭の結論に行きましょう。
“丸付け”は“仕分け”
でしたね。
要は、“丸付け”とは、 “できるもの”と“できないもの”を分ける行為でしかない訳です。もっといえば、アウトプット行為というのは、この“仕分け”を前提とした、仕込みにあたる部分なのです。
この2つの流れは、後のインプット行為に繋がってこそ、はじめて価値がでるのです。
なんなら、“インプットを行う対象を明確化”しているだけなのです。
結局、“丸付け”からインプット行為に流れていかないと、“できない”ものは一生“できる”ようになりません。
ひっぱりますが、先ほどの学校ワークの例のB君を見ると、私の言っていることが伝わるかなと思います。
B君も、丸付け自体はしてますよね?
で、インプット行為までいっているかというと、答えを書き込んで終わりです。
A君はもっとひどいですね。あってるかも間違っているかも分からないまま放置です。
大人から見れば、なんのためにワークを解いたのか?と、謎に思ってしまいますよね。
(更に上位に“答え丸写し”という荒行がありますが、ぶっちゃけインプット行為に繋がってないという意味では、A君とB君も大差ありません)
ここでちょっとA君やB君のような生徒さんをフォロー。
彼、彼女らにも、しっかりとした目的があるんです。
それは「提出物であるワークを埋める」という意味ですね。
・・・大事なことです。これやらないと提出物評価が最低になりますからね。
素直に「出せよー」って言われているからがんばってやってるんです。
でもね。それって、結局“作業”になってしまっているので、“学習”にはなんら効果をもたらさないんですよね。
学校側ももう少し、こういった部分の指導をしてくれてもいいのに、と正直思うことが多いです。
“学習”ということを考えれば、こういったプロセスや、“丸付け”後にどうするかを教えることは当たり前だと思うのですが・・・。
私が知らないだけなのかもしれませんが、実際にうまくプロセス化できている生徒さんは少ない、というのが偽らざる実感です。(体感では、半分いっていないと思います)
とにかく、この“丸付け”は早い段階から自分で行うことを実践していった方が良いです。
理由は後発記事で記します。
まとめ
ここまで、”丸付け”という行為の本質について書いてきました。
通知表で4以上を取りたければ、やはり、“丸付け”からのインプット行為につながる流れをしっかり確立しておかないと厳しいです。
(逆にA君やB君のやり方で4や5が取れているとしたら、かなり優秀。でも多分大学受験でつまります笑)
本記事を読んで気になった親御さんがいらっしゃいましたら、是非お子さんの“丸付け”のスキルをチェックしてみて下さい。
意外とそこがキーになっているかもしれません。
私は“勉強”とか“学習習慣”とか、「ふんわり」した物言いがあまり得意でないので、小難しい感じになってしまいますが、なるべく具体化することを気にしています。
行動レベルまで落ちてないと、中々生徒さんは動いてくれませんし。
後発記事も、また小難しい感じになるかもしれませんが、お付き合い頂けましたら幸いです。
てか、やっぱり長くなってしまいましたね苦笑
ここまで、まとめます。
- “勉強”という言葉は、幅がありすぎて、何を行う行為か不明瞭
- “学習”とは、“できなかったものをできるようにする行為”=インプット行為
- “丸付け”はアウトプット行為とセットで必ず行うべき行為で、アウトプットの結果を“できる”“できない”に仕分けする行為である
- アウトプット後に“丸付け”を行うことで、インプットの対象を明確化し、インプット行為へと繋げていくことができる。
- 更に“解き直し”を行うことで、アウトプット行為へつなげる。欲を言えば、次回の進捗時に前回の×のものを解き直すと忘却曲線への対策となる。
- 上記の意味での“丸付け”をちゃんと行えている生徒さんは、半数に満たない(私体感)