小学校における”All English”の授業はありか、なしか。
こんにちは。
個別指導塾 守山小幡教室です。
当教室の話ではないのですが、本日、別の教室の講師と打ち合わせがあり、その教室の地域の小学校では、”All English”の授業が展開されていると、小耳に挟みました。
先生の熱意と努力を感じますね。すごいと思います。
・・・ところが、その”All English”故に、”訳わかめ”である、と。
そんな声も聞こえたそうです。
なんとも皮肉な話ですね・・・。
過去の記事でも書いてますが、英語教育はこんなになっています。
kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com
kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com
上の記事から"All English”に関して触れている部分を抜粋します。
国の求める英語力を、どう、養うか、という問題
我々塾の立場からすると、旧2技能を教える力は養ってきました。
英会話教室からすると、新2技能はネイティブの先生でバッチリです。
・・・one stop サービスがありません。おそらく、新たに「4技能バッチリですよ!」という新サービス形態ができあがると思うのですが、しばらくかかると思います。
学校はどうか、って話ですけど、まぁ、現状を見る限りは厳しそうですよね。
中学でも授業は基本All Englishにするとのことですが、英語で仮定法を教えらえる先生がいるとは思いませんし、もっと大きな問題は生徒側が理解できるとは思えないことです。
国のやりたいことは分かるのですが、教えられる人材が、圧倒的に足りないというのが実際だと思います。子どもたちに申し訳がないです。
公教育の穴を埋めるのも、我々民間の教育サービスに携わる企業のミッションであるため、微力ながらなんとか形をつくっていかなくてはと思います。
しかし、あまりに課題が山積みです・・・。
"All English”で授業を展開するのには、相当のスキルと熱意、準備時間が必要だと思います。
それゆえに、その先生はすごい!
とても熱意溢れる素晴らしい先生だと思います。
そして、国の指針に真っ向から応えてくれる、とても優秀な先生です。
ですが、それが”訳わかめ”に帰結してしまう。
一種の”仇”になってしまう。
予想はしていたのですが、この問題は2段構えで課題があります。
1.”All English”で指導を展開できる教員不足
2.幸運にも1をクリアできる人材がいても、授業の受け手が理解できない
やはり、こういった問題に突き当たってしまう訳ですね。
しつこいようですが、この先生はとても素晴らしい先生だと思います。
では何が問題かというと、結局、文科省の指針が”現状”に即していない、ということなんでしょうね。
たしかに、旗振り訳は”少し現状と解離したところ”を目標にせざるを得ないと思います。
そうでなければ、”あるべき姿”へ向かっていく力、ムーブメントが起きません。
ですが、”あまりに解離し過ぎる”と、それはそれで問題です。
”英語を使えるような教育に”という志は分かりますし、そうあるべきだとは思うんですが、なんとも、カリキュラムと現状との解離が激しすぎる。
理想と現状を擦り合わせて、フィットギャップをしていく作業が、今後十数年続く気がしています。
小学校の習い事としての”英会話”と”中学校の定期テストで点が取れる英語学習”というギャップに関しては、よく保護者様の話に上がってくる話題です。
また、日常会話ぐらいなら良いのでしょうが、文法内容が高度化してくるに従い、やはりある程度の文法の知識は必須になってくると思います。
Japaneseでも”国文法”を学ぶ必要があるのと同じですね。
そして、最も大事な点と感じるのは、”母語”を学ぶ手法と”外国語”を学ぶ手法は、やはり違うのではないか、という思いを持っています。
既に言語体系をある程度持っている段階で、別言語を学ぶという事は、ある程度”相対化”して学ぶ、ということが、どうしても必須になってくると思います。
この辺りは深くは入りませんが、言語というのは”認知”の枠組みであり、思考の”フレーム”であるはずなんですよね・・・。
低年齢からの英語学習の必要性というのは、そういった部分を反映していると思います
。
(但し、それによって別の問題も発生してきますが、それは別の機会に)
現状、標題に関して言えば、私的には”なし”になるのかなぁ・・・。
”話す””聞く”の強化が必要なのは分かるのですが、ある程度単語や文法の基礎を入れてから、左記2技能を強化していく。
そんなプログラムの方がいいような気がしているのですが・・・。
小・中・高と連続的に考えなくてはならない問題ですし、なかなか、これだ!という解は、経験とデータを蓄積しないと出ないのでしょうね。
ただ、色々示唆的な話ではあるなぁ、と思いました。
塾のサービスとしても、何を提供していくべきなのか。
改めて考える良い材料になりました。
皆さまにとっても、何か参考になることがあれば、と存じます。