塾屋のブログ

名古屋市のとある個別指導塾、の雇われ教室長のブログ。教室の様子、指導内容、勉強法、業界についてなどの雑感を綴っていきます。

【英語教育改革】犠牲者は、ごめんけど君たちだ【現中1,2】

どうも。

 

守山小幡教室です。

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割と刺激的なタイトルでこんにちは。

まずは、下記の文科省の資料を。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/04/05/1414476_1.pdf#search=%27https%3A%2F%2Fwww.mext.go.jp%2Fcomponent%2Fa_menu%2Feducation%2Fdetail%2F__icsFiles%2Fafieldfile%2F2019%2F04%2F05%2F1414476_1.pdf%27

 

はい。長いし、読みにくいしで誰も開かないですよね笑

 

まとめます。

要はですね、小学校英語が教科化され始めた世代であること。

そして、来年度から中学の教科書が大きく変更されること。

この狭間の世代に対して、どう指導を提供していくかという問題に対して、文科省が”こんな感じでやってね~”って資料です。

いつもの通り、現場の先生に全幅の信頼(丸投げ)を置いた内容となっております。

 

具体的に中身に入っていきましょう。

 

 

新中1には”4月”に”小中接続のための指導期間”を設ける

何を想定してんだかよう分かりませんが、指導案を見ると、「自己紹介」「世界の自己紹介の映像見る」「グループワークでちょっとした会話」「曜日、アルファベット」的なことが載ってます。

・・・なんだ。今までとほぼ変わりませんね。

たぶん文科省的な目玉はこちらで、「小学校教科書のWe Can!の関連単元載せておきました!」「We Can!を使ってね!」

・・・ふーん、ですね。

 

まぁ、大したことあらしまへん。

てか、4月学校行ってないですから。

次々。

 

”帯活動”を設ける

”帯活動”ってなんぞ???

外国語を知るには文化理解から。

外国文化を知るには自国の文化を知らないと。

→和服を着て帯を締めよう!ってことですかね?

(そういえば、世界への道を切り開いた元サッカー選手の旅人が似たようなことを言ってました。

・・・グロインペインさえなければ。今も惜しまれてなりません)

 

小ボケは置いておいて。

この”帯活動”とは”small talk"と銘打たれています。

 

定義的には下記になります。

・2単位授業に1回実施

年間70時間を確保(1回で約10分)

・”話す”能力を伸ばす

増加単語の”話す””聞く”を補習

・会話シーンを4~5に絞り、集中的に訓練する

 

下記の小学生の教科書改訂の記事でも取り上げていますが、”話す””聞く”への傾倒が見えますね。

kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com

 

”教師も英語を話す”という記載があり、要は”英会話を学校でやろう”ということですね。

 

小学校の会話重視の流れを考えると、当然の流れのように思います。

ですが、当然気になるのは年間70時間の確保というのは、かなりその他の内容を圧迫するのでは、ということです。

 

語彙数に関して

現カリキュラム:1,200語程度

新カリキュラム:2,200~2,500程度

 「バイキルト!!」

 

このバイキルト問題への文科省の対応案は下記の通りです。

2019~2020年度中に より多くの語に触れる機会を提供することで、2021年度の学習により円滑に移行できる。

・・・などと意味不明な事を供述しており。

 

”小中接続”と”帯授業”もそうなんですが、昨年、今年と指導していて、学校側がこれに取り組んでいる気配を感じたことはないです。

実際はやっているのかもしれませんし、学校毎に差もあるとは思いますが。

私が学校の先生でもたぶん、無視するでしょう。

 

まず、年間70時間なんてとってしまったら、他の部分のカリキュラム進行がまともにできないという問題。

今年はコロナで更に時間が少ない。

「寝言は寝て言え」と先生が毒づいても許されるレベルですね。

 

次に、”評価”しづらい。

テストに盛り込むのか、別途スピーキングテストするか、どこを評価ポイントにするのか、ネイティブの発音に近いか否かか、会話の柔軟性なのか、感情表現がどれだけなされているのか・・・等々。

最後の方なんかは”フィギュアスケートの採点基準問題”みたいになってますよね。

こんなん評価指針がなければ評価できない訳です。

そして、評価指針とは”獲得を目指す力の明確化”がなければ策定できない訳です。

なんとなく”しゃべれなきゃね~”って感じで”話す””聞く”の”時間”を増やしていますが、中途半端過ぎて、行動レベルまで落ちていません。

・・・まぁ、いつものことですがね。

 

現中1、現行2年内容一部ぶっとばし問題と3年生が白目剥く問題

こちら、中1のNEW【NEW HORIZON】カリキュラムでござーい。

https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/eigo/documents/eigo_nenkanshidoukeikaku1.pdf

 

 現行から加わっている大きな部分では下記ですかね。

Want to , look C , There be

まず、現中1はこれが抜けちゃいますね。

一応、以降の教科書内容で復習する部分が設けられるようです。

 

学校の先生は、けっこー律儀に教えると思うので、漏れることはないと思うのですが、その分、時間が圧迫されるのは請け合いで、進行は速くせざるを得ないですね。

 

もしコロナで今年の積み残しがでちゃったら・・・。

考えたくないですね。

なんとしても今年の分は終わらせないと。

私が先生ならそう思います。

 

しかも、塾的視点でいうと、進行形の単元があるんですが、3年で完了進行形を扱うようになるので、”動作V/状態V”の話をしておかなくてはいけないんですね。

同じ単元でも”理解の深さ”が異なってくる訳です。

 

次に中2ですね。

https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/eigo/documents/eigo_nenkanshidoukeikaku2.pdf

 

こちらはそれほど大きな変化はないです。

強いて言えば”疑問詞 to”が3年から降りて来たこと。

また、受け身単元が付録的扱いだったのが、U7としてちゃんとした学習対象となったことぐらいでしょうか?

 

といいたいところですが、やっぱり1年と同じように深堀せにゃならんところがあります。

3年で”let,haveの使役V”を扱うので、ここまでくると5文型はしっかり仕込まなくてはあかんと思います。

 

最後に3年です。

https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/eigo/documents/eigo_nenkanshidoukeikaku3.pdf

 

まず、見るだけでゲンナリしますね♪

下記が新たに新加入メンバーです。

・完了進行形、使役V、仮定法(I wish、If S were)

 

どれも大物ばかりですね♪

特にラスボスの地位を”関係代名詞”から奪った”仮定法”さんには、受験生に白目を剥かせる活躍が期待されます。

 

・・・なんだって、I wish や If S wereなんていう変化球だけチョイスするかな~( ;∀;)

 

 

以上、中学英語カリキュラムは、コロナという社会情勢も相まって、飛躍的に英語の難易度を高めてくれます。

正直、文科省の意図であるところの”話す””聞く”への傾注は、「そんなんやってられっか!」レベルになると思います。

それでも、話す・書く”以外”のところだけで、お腹いっぱいになるはずです。

文法もそうなのですが、単語も「バイキルト問題」が存在しており、入試で出せる語彙数が飛躍的に増大します。

 

さて、ここで個人的見解を。

・・・”単語”を日常的に取り組みましょう。

いつぞやにも書きましたが、高校終了時で求めれられる語彙数は5000語です。

小5から計算して、2語/1日の計算で達成できます。

 

5000という膨大な量もさることながら、やはり言語の基本にして、一番無駄にならない部分は”語彙力”です。

 

高校、大学、英検、TOEIC等、全てにおいて”語彙力”は大事なファクターになります。

ここまで読んで頂いた方であれば、国の旗振りと現場の動きの不一致がお分かりだと思います。(私は教員ではなく、すべて推察なんですが・・・苦笑)

 

日常の勉強の中に単語学習を組み込んで、小学生の内から取り組むのが吉と考えます。

1日2語ですから、1週間で14語です。

共通テストの時期を考えると1週間で20語というキリのよい数字で回すのが良いと思います。

 

ってことで、当教室でもちょっと検討していかなくてはならないですね。

教材会社さんも無学年の単語学習教材を出してくれれば、けっこー流行ると思いますがね。

まぁ、まだこんな国と公教育があたふたしている段階では難しいでしょうが。

 

いずれにせよ、英語学習はかなり大きな変化を強いることになると思います。

何かご参考になれば幸いです。