塾屋のブログ

名古屋市のとある個別指導塾、の雇われ教室長のブログ。教室の様子、指導内容、勉強法、業界についてなどの雑感を綴っていきます。

【工業、商業高校から楽して国公立】私は反対!【逃げるは恥だが役に立つ、わけない】

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ガッキーのかわいさをもってしてもモヤモヤは晴れない・・・


彼らの言い分

 

出ました。

今年も。

 

これはですね、普通科を目指していた生徒が、【国公立の四大進学を目的】に【専門科】へ行くと言い出すパターンです。

 

彼らの言い分はこうです。

「国公立の指定校推薦がもらえるんですよ!レベルが落ちるから、勉強しなくても楽して国公立へ行けちゃうんですよ!!」

などと供述します 苦笑

 

一応解説をしますと、工業科であれば工業大学、商業科であれば経済大学の国公立に、それぞれ専門科枠として、指定校推薦の枠をもっています。

数は多くても2桁いくかいかないか、といった感じじゃないでしょうか。

 

とりあえず、これを言うと、私の「人生なめんなよ」スイッチが入ります。

激okoぷんぷん丸に0.03秒でなります。

・・・県内上位の私立高校に受かった生徒が言うからたちが悪い。

 

おじさんの主張

 

 私の怒りポイントを下記に記します。

 

A.リスク高過ぎ、たかすぎくん

 いわずもがな。めちゃくちゃリスキーです。

 

①枠少な過ぎ問題 

同じこと考えているやつ、絶対いるし。

また、専門科の場合、意外と猛者が混じっている事があります。成績上位者にもかかわらず、「就職したいから」と専門科にいったクラスメート、いませんでした?

結果、普通科に行くより熾烈な戦いを演じる羽目にならないといえるでしょうか?

競争相手が全国でなく、一学校の同学年の生徒に固定されることで、パワーバランスはかなり固定的になります。傑物が混じっていた場合、ほぼ終戦です。(チーン)

 

②専門科は成績=就活

当然、成績上位者から好きな企業を選んでいいよ、っていうシステムです。

はい、入学した時点から全生徒が己の人生をかけた成績競争の開始です。

長い就活が始まるわけですね。理屈で考えれば、普通科よりも熾烈な争いです。

 

③受験科目が履修できない

 まぁ、専門科ですから。そちらの科目がありますからね。

指定校が怪しい時や、無理そうな時は、当然独学で勉強する羽目になります。

そりゃ厳しいですよね。むしろ自分を敢えて不利な立場に追い込んでいるのでは。

 

④希望の学科に進学できる可能性は、奇跡に期待 

 枠は少ないですし、複数の学科がある大学は稀でしょう。

今はまだ希望がなくとも、3年後は分かりませんよ。

特に工業高校の場合、この悩みは大きいはずです。

 

B.「その先」どーすんの?

 

 見事推薦を勝ち取りました。学科も国公立ならなんでもいいです。

・・・で、大学の単位はどーすんの?院試は?

 

経済学部でしょ?数Ⅲやってんの?え、数Ⅱもやったことない?

・・・まぁ、つけが回ってきましたな。さぁ、遅れを取り戻そう。

 

工学部だよね?院試もあるし、血反吐を吐く思いでやればなんとかなるかもね。

え?院にはいかない?じゃー希望してた研究職は厳しいかもね。

それに、学校推薦じゃないから、完全な実力勝負だよ。

まぁ、人事担当者に院卒以上の「何か」を見せられれば採用の可能性もあるかもね。

 

その選択は、「君を成長させるのか」

 

私が最も言いたいのはこれ。

 

ブランドが魅力的に映るのは分からなくもないです。

しかし、それだけでは生きていけない。

ブランドに見合った「力」を示さなければ、むしろマイナス評価につながります。

そもそも、社会に出る前に大きな壁になって立ちはだかるはずです。

 

私の研究室も卒論が書けなくて、毎年数人留年していました。

サークルの先輩は8年いて卒業できず退学になりました。

国公立はそこまで甘くないです。

 

そして、勉強の知識自体もそうなのですが、個人的には勉強を通じて身に着ける力を重視しています。

 

まずは自己分析力。成績と自身の行動を照らし合わせ、自己を客観視する能力。

ここから課題を抽出します。

 

次に課題分析と行動立案能力。課題を見つめ、解決法を考え、スケジュールに落とし込み、進捗を管理する。

 

最後に効果測定と改善能力。一発でうまくいくことはほぼないです。悩み、格闘し、変更を重ねながら、改善をしていくのです。

 

まんま、仕事をする上でのベースとなる力ですよね。

遅かれ早かれ、ここを一定ラインに引き上げないと、話になりません。

 

なぜ高学歴が採用で重視されるかは、ここにあると思っています。

高い学歴を持っている人ほど、上記を満たしている『可能性』が高いからです。

 

高学歴自体に意味があるのでなく、ベース能力が開発済みであることの、一つの指標として見られていると思うのです。

 

故に指標だけを求めても、中身がなければ単なるハリボテで、簡単に見抜かれてしまうものです。だって相手も本気ですから。人事だったら自分の責任問題になりますしね。

 

10代半ばで、まだまだこれからなのですから、最初のチャレンジで、敢えて変な抜け道みたいなものを狙わないで欲しいと思います。

逃げ癖がつくと後々困ったことになりますしね。

(私も逃げたことはありますので、絶対逃げるなとは思いませんが。)

 

とはいえ、10代半ばだからこそ、言っても伝わらない面もあります。

話を聞いていた国公立の試験を控えた高三生に

「家の弟にも言ってやって下さい。僕も受験勉強を通じて成長をしたと思います。」

なんて言われましたが、経験をしたからこそ分かる部分でもあるんですよね。

 

果たして分かってくれるでしょうか・・・。

最終的には本人の意思を尊重しますが、塾講師やってて、これが一番凹むなぁ・・・。