塾屋のブログ

名古屋市のとある個別指導塾、の雇われ教室長のブログ。教室の様子、指導内容、勉強法、業界についてなどの雑感を綴っていきます。

早稲田の声明に思う事【学費・実験実習料の一律減額要望】

5/5に早稲田の総長が「学費に関する考え方について」とのコメントを出しました。

www.msn.com

こちらは、コロナ禍でオンライン授業や施設への立ち入り禁止となり、学生から上がる“学費や実験実習料の一律減額要望”に対する回答となります。

 

 

早稲田総長のコメント

 

「一律減額はしない」

 

これが早稲田の回答です。

 

理由はまとめるとこんな感じですかね。

・「学費」は在学期間の均等割りで算出されているものなので、授業が通常通りに実施されない状況が一時的に生まれても、その分減額することはできない

 

そういった性質のものなので、逆に下記のように、不利益ばかりではない、という趣旨のコメントも出ています。

まとめるとこんな感じです。

・オンライン講義の体制構築で多大なコストがかかっているが、現在在籍の学生だけが負担するものでなく、卒業・今後の学生にも均等に負担してもらう形になる

 

学校法人という性質も加味すべきところだとは思いますが、理由としては“ちょっと苦しいな”というのが、率直な印象です。

受けるサービスに対して、応分に費用を支払う、というのが原理原則的な考え方だと思うので。

 

ですが、文系学部だと、3、4年になるとほとんど学校にいかなくなりますので、平時でも上記考え方は適用されてないですけどね笑

 

だから、やっぱりちょっと特殊な考え方が適用されていると思います。

こういう意味では、“均等割り”という考え方は、実際問題としてそうである、と言えるかもしれません。

 

逆に、オンライン授業への設備投資費用に対しては、サービスの受給者が支払う、という話になってくると思います。

それが、“均等割り”で費用負担を、という話なので、一方的に不利益を丸かぶりする、という訳でもないと思います。

ただ、学生側が“そんなん大学側が勝手にやったことで、そういう契約はしていない”という話をし出したら、またこじれるとは思いますが。

 

・・・難しいですね。

 

ただでさえ、東京で家賃を払いながら、生活費も工面し、学費を支払っている学生さんや親御さんの苦しさは分かります。

“義務教育じゃないんだから、金がないなら辞めるしかない”との意見もあるようですが、流石にこのような状況を見据えて選択を行うことを強いるのは、手厳しいなぁ、との印象です。

 

かといって、大学側も苦しい。

“困窮する学生には支援を行う”という策は打ち出している訳で、やれる範囲で学生を救おう、という意志は感じられます。

 

学校法人の“経営”の問題

 なんやかんや言って、結局大学側としても固定費はある訳で、その中でできる対応がここまで、という”線引き”なんだと思います。

 

“授業料が減る”ということは、こういうことなんですね。

 

単純にキャッシュフローの話に集約されていきます。

規模が大きい程、キャッシュの工面は大変なので、早稲田のような一貫校は尚更ですね。 

 

大学入試改革でもそうでしたが、この業界は先鞭をつけた学校に対して、割と“右に倣え”という風潮があります。

 

そういう意味で、早稲田のこの声明はけっこー大きなものだと思っています。

 

愛知の大村知事が“9月入学にすると兆単位の出費になる”との発言をしていました。

正直、その妥当性は分かりません。

 

ただ、税金でそこを補填するとなると、その負債を背負うのもまた、子ども達であることは考えなくてはいけないと思います。

 

“9月入学”に関する下記の記事でも触れていますが、早々にこの問題にフォーカスした話が出てきたので、ピックアップしてみました。

kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com

 

今後も色々な問題が出てくると思います。

 

“いまやらなきゃ一生できない”ではなく、無理に急がず慎重な議論を行なって欲しいと、ホント、思います。