塾屋のブログ

名古屋市のとある個別指導塾、の雇われ教室長のブログ。教室の様子、指導内容、勉強法、業界についてなどの雑感を綴っていきます。

【知事会から提案&首相も検討指示】中編:9月入学はありか?なしか?【デメリットをあげきらん】

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さて、中編です。

 

ええ。後編じゃないです。中編です。

書いてたら、やっぱり長くなりました。

今回は中編になります。

 

下記の前回記事では、“9月入学”のメリットをちょっくら考えてみましたが、今回はデメリットになります。

○前回記事

kobetushidou-obata-naeshiro.hatenablog.com

の前にちょっと補足

 

 

前回記事のメリットの補足です。

どーも経団連の賛成表明の背景には、賃金の安い外国人労働者確保の思惑もある、との意見もあるようです。

超優秀層、という訳ではなく、工場のライン等などの労働力が想定されているようですね。

 

もしそうであれば、この話は大企業の雇用に関わる話だけでは終わらないと思います。

製造業は、下請け-孫請け-更なる下請け、という構成をとっていますので、発注元からのコストカットの要請というのが、容赦なく降ってくるからです。

下請けが設備投資する際には、許可するかしないか口を挟む、なんて話を調達の人が言ってましたね苦笑

 

他方で、今回のコロナ禍で“中国への過度の依存”が鮮明化しました。

皆さんマスクで実感されているように、世界規模で需要が増大すると、輸入ができなくなり、物資の供給が回らなくなってしまうのですね。

となると、反省として“国内での生産能力を見直していく必要がある”という論は必ず出てくると思います。

事実アメリカでは、トランプさんだけでなく、州知事のレベルにおいても、中国への批判を強めており、脱中国という力が働き始めています。

 

正直、コストの問題からどこまで“国内回帰”の動きが出るかは、眉唾ものです。

しかし、政府の肝いりになったり、世論的に大きな燃料があれば、この動きが先鋭化するかもしれません。

 

ただ、その場合もコストが問題にはなりますよね。消費税が10%になり、明らかに消費が落ち込んでいる状況(コロナ禍以前の話)で、今更日用品がさらに高コストとなることはあまりに愚策。

中国への過度の依存リスクへの対応と消費への配慮を考えると、やはり国内での生産をなるべくコストを上げない形、というのがまず考えられることではないでしょーか。

 

コストカット策としては、人件費の抑制は一番手っ取り早く、効果も大きいです。

そういう意味で、外国人労働者の確保をし易くする、というのが“9月入学”のメリットとして挙げられるかもしれませんね。

 

デメリット

 

補足が長くなりました。デメリットいきましょう。

“9月入学”だろーが結局1月分はどこかで埋め合わせが必要。

 

→デメリットって訳じゃないですけど、意外と議論になってないんで指摘しておきます。

新学年の分はもちろん、3月分も結局できてないんですよ。

だから程度の差こそあれ、しっかり学習機会を確保する、という趣旨に鑑みれば、休み潰してやらなきゃいけないのは変わらないと予想されます。

 

留学先として候補になりやすい欧米は、コロナ禍で“9月入学”を変更する可能性

 

→こちらも意外と議論されてない気が。

いや、コロナって世界規模ですから。当然こーいう話にはなってますよね。

単年の話なのか、今後ずらすのか。

まぁ、入学時期をずらすにしても、単年の暫定的な話になるとは思うんですが、日本が急いでやるこっちゃなくないですかね?

最悪、目も当てられない状況になるよー。

 

未就学児との接続をどーする

 

→卒園時期を半年延長しなくては、小学校入学の秋まで、半年間宙ぶらりんになってしまいます。

 

“児童ニート”、爆誕

 

この問題を考えていくと、以下の思考になります。

 

  • 小学校入学前の年度だけ1.5年にするとか訳分からんからダメ
  • なら、入園時期も半年遅らせよう
  • “待機児童問題”発動
  • 入園時期は遅らせず、この期間は“プレ入園”みたいな新たな括りにすっか
  • 保育、幼稚園が常時抱える園児の数が増大。1年度当たりの入園者を絞らざるを得ない
  • “待機児童問題”発動(パート2)
  • なら保育、幼稚園のキャパシティーを増大するしかない
  • 施工工事やら人手の確保やら資金の工面やら、できる訳ないジャマイカ(血涙)

 

“年度”概念の社会全体での扱い

 

→社会システム自体も、接続を考えて、一つ一つ混乱のないように、検証し、扱いを決めていく必要があります。

それでも大問題が発生するのは分かってますけど。

 

個人的に言っておきたいのは、制度レベルの話だけではないということです。

 

膨大な数のプログラミング改修が発生するんじゃないかと。

 

システムは社会制度と分かちがたく結びついています。

法改正がある度に、業者がパッチあてにきたり、オンラインで配信されてますよね?

 

ちょっと私がギターの位置も低めに、自転車のサドルも低目に、ズボンをはく位置も低目にしていた時代へタイムスリップしましょう笑

 

“2000年問題”。懐かしいですね。これぐらいの規模の話になるんじゃないかと。

あれは実は当時の技術者達が、ちょーちょーがんばってくれて事なきを得たとのこと。

 

“9月入学”になったら予想される流れをドドドン

  • どのシステムで問題が発生するか不明
  • 利用者から不具合の声があがる
  • ただし、システム会社も制度がかっちり決まってないから、要件定義ができない
  • 行政に問い合わせるも、「不明」っていわれる

う~ん。デスマーチがそこかしこで発生し、過労死が増えそうですね。

 

  • 実際に問題が発生する(事前に問題を見通せていないので)
  • 影響度の大きい順に政府が検討を始める
  • 一回暫定的な法案をとりま成立させる
  • これが多方面に渡って繰り返される

 

なんて流れになるだろーと。

もう、官も民も巻き込んで“日本列島大混乱”って感じですかね。

 

学校法人、潰れちゃう?問題

 

→これは独法化してる国公立大学も他人事じゃないんですが、9月入学になったら、流石に授業料返金になりますよね。

半年分の授業料がまるっと消える訳です。

 

私立高校の授業料を題材に検討してみましょうか。

 

大体授業料は30万前後です。半分だと15万ですね。

生徒数もピンキリですが、350人で考えてみましょうか。

 

15万×350=5,250万

 

単純計算でこれだけがキャッシュとして抜けて行く訳ですね。

 

実はこれだけではありません。

そうですね、受験料です。

これも順当にいけば半年間ズレるので、キャッシュフローの悪化を招きます。

私立高校の受験料は平均2.2万円。

倍率4倍だったとすると、下記の計算ですね。

 

2.2万×350×4=3,080万

 

まだあります。

これは一部返納や不要な学校もありますが、“入学手付金”ですね。

こちらも差があるでしょうが、受験料よりは高額でしょうね。

4万としましょうか。

支払う人数は、合格かつ生徒側が入学意向or公立滑り止め、という人数になります。

ざっくりですが定員の1.5と見ましょう。

 

4万×350×1.5=2,100万

 

こんな感じで、ざっくり1憶ぐらいのインパクトでキャッシュフローの悪化を招くことになりますねー。

実際は消費税等の税金がありますから、1憶弱ぐらいですかね。

(授業料や受験料が、そのまま学校法人に入るのか知りませんので、この試算は本当にざっくりです)

 

“9月入学”への変更により、各種費用増も見込まれますね。

私立学校はオンライン授業を実施しているところが多いですが、これはミニマムで考えていたところは、そんな大した額じゃないでしょう。

(これを機に、オンライン環境の拡充を!と意気込んでいたところは知りません苦笑サーバー関連費とか、本気でやるとそれなりになります。業者に言われるままだと、けっこー重い金額になっているかも・・・)

 

どちからいうと、入試関連事項の再構築だったり、混乱による事務手続きの煩雑化などの、人件費の加算を見ておく必要があるでしょう。

 

正直、潰れる程の金額か、という思いもありますが、専門学校や通信制などは、危ういところも出てくるでしょう。

学校法人というのは、民間ではあっても、ある程度公的側面もありますから、支援せざるを得ないでしょう。

学校が潰れたら、生徒どうなる?っていう問題がありますからね。

 

まだ、色々あるんで、一回ここで切ります。